2019年8月24日、島原市有明町大三東で風除祭が行われました。
「風除祭」とは・・・
台風などを除け五穀豊穣や豊漁などを氏神様に願う、立春から二百十日目を中心としたこの時期に行われるお祭り。神輿を担ぎ、太鼓や笛の音を響かせる浮流の神輿渡御行列が夏の風物詩となっています。
長崎県内でも各地で行われている風除祭ですが、ここ大三東地区では『はなだご』という天狗のお面をかぶった御神輿の案内役が人々を追いかけて、“ヘグロ”と呼ばれる炭の粉を塗られるというめずらしい祭りが見られます。
大三東には温泉神社(8月24日お下り〜8月27日お上り)と八幡神社(8月27日お下り〜8月30日お上り)があり、今回訪れたのは温泉神社。
払山地区のみなさん。
風除祭では、温泉神社から海近くの御旅所まで神輿渡御行列する“お下り”と温泉神社に戻ってくる“お上り”が行われます。大三東地区では、“お下り”“お上り”をそれぞれ毎年担当地区が交替しているそうです。
小雨降るこの日も「センザイ!マンザイ!」と、御神輿の担ぎ手衆の力強い大きな声が響きます。
榊を手にし真っ赤な顔に高い鼻の『はなだご』は、猿田彦神でもありニニギノミコトの天孫降臨の際、地上まで案内をしたという道案内の神様です。
『はなだご』さんは、背後から、家の奥から、どこからでもやってきます!
出会うと“ヘグロ”と呼ばれる炭の粉を顔や体に塗られます。
子どもたちを見つけたらダッシュ!!風のような勢いで駆け下りて行きます。
へグロを塗られようと?朝から子どもたちが『はなだご』さんを気にしながら歩き回る姿が見られるのも“お下り”と“お上り”の日ならではの光景。
雨の中歩いてくる『はなだご』さんはちょっと恐い。
恐いような。でも、塗られたいような。
そんなドキドキした気持ちで子どもたちは近づいたり離れたり『はなだご』さんの一挙一動に注目します。
小学校のグラウンドでも猛ダッシュ!よく見ると『はなだご』さん2人!?
道路に出たところで見事確保されていました。
体育館の中にも入って行きます!塗られても塗られても、何度も近づく強者も。
雨天とはいえ真夏の暑い日。全力で子どもたちを追いかけ回す『はなだご』さんは体力勝負です。しかも、視界は片目2cmぐらいしか見えない天狗の面を被っての全速力なので大変です。
それでも『はなだご』さんは、みんなの邪気を払うためへグロを塗ってまわります。
へグロは、邪気払いの意味もあり大変縁起のいいもの。
風邪を引かないように、病気をしないようにと、赤ちゃんや小さな子どもに優しく塗ってくれます。
有明庁舎から国道251号線へむかう神輿渡御行列。白かった『はなだご』さんの衣装も、たくさんの人々にヘグロを塗り歩いたので炭が染み込んで黒くなっています。
保育園にも登場!
「ちゃんと言うこと聞きます!」と泣きながら子どもたちは『はなだご』さんにお願いするのでした。
へグロを塗られたみなさん。
真っ黒に塗られても嬉しそうな子どもたち。町中を駆け回る鬼ごっこのような熱気が大三東の町に広がります。
神輿渡御行列は国道を渡り海近くへと下って行き、海の中へ。
無事、御旅所である江﨑神社へと到着することができました。
役目を終えた今年の『はなだご』さん。
真っ黒になった手と衣装ですが、やり切った達成感が溢れています。
大三東温泉神社の宮司 青木さんは「100年以上続くこの祭りがいつまでも続いてほしい。」と語ります。
たのしくまなべる神社のページ
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