南島原市の特産品、島原手延べそうめん。そうめんを作る工程で生まれる「節」を主人公にした絵本が2026年2月に発売された『そうめんふしこのぼうけん』。今回は作者の「ちさまるさん」の読み語りの様子や絵本に込めた想いを聞いてみました。

2026年7月11日、「ちさまるのそうめんおはなしかい」の会場は、原城図書館 視聴覚室。

『そうめんふしこのぼうけん』には、そうめんやうどん、そばなど、さまざまな麺を思わせる「国」が登場します。主人公のふしこちゃんは仲間たちと旅をしながら、いろいろな人と出会い、困ったときには力を貸し合いぼうけん物語。
会場には、「そうめん」をキーワードに、そうめんに関する本や料理の本なども並べられ、集まった子どもたちは興味津々に本を手に取っていました。
\まずは自己紹介/

作者の「ちさまる」さんこと、久木田千佐さん。現在は、南島原市の職員として働いています。
愛知県で生まれ育ったちさまるさん。現在はみんなと同じ南島原市に暮らしていること、そして小さい頃から絵や文章を描くことが大好きだったことが語られました。
絵を描き始めたきっかけは、幼い頃に母に連れられて初めて映画館で観た『ドラえもん』でした。その時の感想は「大きなスクリーンを縦横無尽に駆け巡る世界に、言葉にできないほどの衝撃」。興奮冷めやらぬまま帰宅したちさまるさんは、その日、家の壁をキャンバスに見立て、夢中になって絵を描いたそうです。
幼いちさまるさんにとって、「描きたい」という気持ちを否定されず、そのまま受け止めてもらえたことは、大きな意味を持つ経験だったといいます。
「描くことは楽しい」
幼い頃に感じたその純粋な気持ちは、今も彼女の自由な表現の中に息づいています。自由に線を引き、思いのままに描く。大人になった今も、ちさまるさんの作品には、幼い日に感じた「描くことの楽しさ」が変わらず宿っています。
\読み語りスタート/


ちさまるさんの記念すべき「初めての読み語り」は、子どもたちがお話を聞き漏らさないように、静かに、そして真剣に聞き入る温かい雰囲気の中で行われました。
そんなふしこちゃんの冒険を、楽しそうに見守る子どもたち。物語に登場する食べ物やキャラクターに興味を持ったり、「次はどうなるの?」と想像を膨らませたり。絵本を通して、自然と物語の世界に入り込んでいきます。
\そうめんクイズ/


読み語りが終わった後に行ったそうめんクイズでは、「わかった!」「〇〇だよ!」と、子どもたちから次々に元気な声が上がりました。友だちと答えを相談したり、正解すると嬉しそうに声を上げたりする姿も見られ、会場は笑顔と歓声に包まれ、賑やかで白熱した時間となりました。
\最後は、ちさまるさんに質問タイム/

質問コーナーでは、子どもたちからちさまるさんへ、自由でユニークな質問が次々と投げかけられました。


「好きな食べ物は?」「今何歳ですか?」と、ちさまるさんの素顔に迫る子どもらしい質問が飛び出せば、「なぜ、そうめんの麺ではなく『節(ふし)』を主人公にしたの?」と、絵本の核心を突く鋭い問いも。さらに、「絵本は何日間でできましたか?」と制作の裏側に迫る質問も寄せられ、次から次へと好奇心いっぱいの子どもたち。
「一人で頑張らなくてもいい」

物語の中には、ふしこちゃんが一人で頑張りすぎて倒れてしまう場面もあります。そんなふしこちゃんのもとへ駆けつけるのが、仲間のふじお君とたけお君です。たけお君は、流しそうめんに欠かせない「竹」をモチーフにしたキャラクターです。
質問で「なんで、たけお君が出てきたの?」と聞かれたとき、ちさまるさんは「流しそうめんをするためには竹が必要だから」と答えました。絵本の中では、ふじお君とたけお君が竹をつないで、流しそうめんをする場面も描かれています。ふじお君やたけお君には、ちさまるさんがこれまで身近な人たちから助けてもらった経験も重ねられています。誰かのために頑張っているとき、そばで見ていてくれる人がいる。そして、困ったときには手を差し伸べてくれる人がいる。ふしこちゃんと仲間たちの姿を通して、「一人で頑張らなくてもいい」というメッセージが伝わってきます。
「おいしいものを食べると笑顔になる」
ちさまるさんが絵本を通して伝えたいことには、「平和への願い」も込められています。
「今、平和に暮らせていることは、決して当たり前ではありません。災害など、いつ困難に巻き込まれるか分からないからこそ、子どもたちが大人になったときにも平和な世界が続き、みんなが仲良く、楽しく、笑顔で暮らしていてほしいと願っています。」と語りかけました。
南島原のそうめんを食べると、思わず笑顔になる。その笑顔が、やがて人と人とのつながりや、助け合う心へと広がっていく。「おいしいものを食べる」ことには、人を笑顔にし、誰かとつながるきっかけを生み出す力があります。そんな「笑顔になるパワー」が、この絵本いっぱいに詰め込まれています。
\手書きの温かさを大切に/

本の制作では、絵のタッチにも試行錯誤を重ねました。出版社と相談しながら、水彩絵の具やクーピー、ペン、筆ペンなど、さまざまな画材を試したそうです。できあがった絵本は、筆ペンならではの線の強弱を生かし、手書きの温かみが感じられる表現になっています。制作期間は約3週間。
6年ほど前、市の広報で手書きのキャラクターを描いてほしいと依頼されたことがきっかけで生まれたふしこちゃん。広報用のキャラクターとして生まれたふしこちゃんが、一冊の絵本の主人公になりました。

南島原から生まれた「ふしこちゃん」の冒険は、地域の身近な食文化を入り口に、地域を越え、世代を越えて、笑顔の輪を広げていきます。

「そうめんふしこのぼうけん」は南島原市の図書館に置いてあります。書店などでも販売中♪
ぜひ絵本を手に取って、ふしこのぼうけんを一緒に楽しんでみませんか。