薄紅の桜が美しく開いた2019年3月30日(土)、雲仙市千々石で観櫻火宴(かんおうかえん)が開催されました。
観櫻火宴(かんおうかえん)とは、県内最大のたいまつ火祭りです。総勢約200人の武者たちがたいまつを片手に、「弥栄(いやさか)」と勇ましい掛け声を上げながら橘公園を行進します。
桜雲を背景に橘公園を練り歩く武者達の様は、幽玄な歴史絵巻と例えられるほど幻想的です。
四百数十年前、佐賀から攻め寄せた龍造寺家の軍勢から村人を避難させ守ろうとした千々石大和守直員(なおかず)。
しかし大和守直員が守る釜蓋(かまぶた)城は落城。25歳の若さで自刃という壮絶な最期。
大和守直員は自刃の前に、戦国の世の終結と平和を希求したという。
この史実を、平和な世への感謝をもって再現します。
「はなて!」の掛け声とともに本物の火縄銃を発砲。耳を突き破るような銃声が轟き、観客の感嘆の声が上がります。
掛け声の「弥栄(いやさか)」とは、いよいよ栄えるという意味です。大和守直員が果たせなかった”勝ちどき”がこの祭りで果たされます。
大和守直員の嫡男、純員(千々石ミゲル)はこのときに落ち延びたといわれています。
赤く燃える松明に照らされた武者行列は恐ろしいほどの迫力。
祭りにきていた雲仙市在住のご家族に、観櫻火宴の感想を聞かせてもらいました。
「年々海外の方が増えていて、日本(の雲仙市)の歴史の素晴らしさが世界に伝わっているようで、良かった!」とお父さん。
こちらも雲仙市在住のファミリー。
写真中央、小学生の利都(りつ)くんは、「鎧の顔がこわかった!出店がとてもたのしかったです。桜がとてもきれいでした。」と教えてくれました。
ライトアップされた夜桜も幻想的…。
戦国絵巻、観櫻火宴(かんおうかえん)。郷土を守るために戦った城主がいました。