2025年10月7日、南島原市北有馬町の春日神社で、五穀豊穣を祈る伝統の「浮立(ふりゅう)」が奉納されました。


3~13歳の氏子(浮立子)が独特の衣装をつけて、笛や謡に合わせて大太鼓を叩くこの浮立は、島原の乱後に佐賀から移住してきた人々によって伝えられたとされ、昭和55年には北有馬町郷土芸能保存会を結成し、浮立・先踊りなどの保存・継承に努め、文化的発展と住民の融和を図っています。

春日神社の禰宜 中村知華さんによって神事が執り行われ、厳かな雰囲気の中、祭りが始まります。


秋の収穫前に神社に奉納される春日神社の大祭。北有馬地区にある折木、坂上下、西正寺、今福、谷川、田平の6つの名で担当を回り祭りを行います。コロナ渦での祭りの中止や、参加者の減少により開催できない年が続きましたが、今年は3年ぶりの奉納開催が決まり、地域に明るい話題をもたらしています。

今年の担当である田平名地区の小中学生18名と保護者、北有馬町郷土芸能保存会のみなさん、総勢約50名ほどが参加。

子どもたちは、烏帽子や振袖といった伝統的な装いで身を整え、奉納の舞に臨みます。

子どもたちの太鼓や、お父さんたちの笛の練習は、夏休みが始まってすぐにスタート。9月に入ってからも、夜に約2時間ずつ練習を重ねてきました。

北有馬町郷土芸能保存会のみなさんに指導を受けながら、少しずつ技を磨いてきました。




演目は「しゃぎり」「重ねバチ」「リリュウ」「君が代」の4曲。太鼓の重く力強い音が、「ドン、ドン」と境内に鳴り響く。その鼓動に呼応するように、澄んだ笛の音が高く舞い、秋の澄んだ空気の中をすり抜けていきます。


春日神社では、子どもたち一人ひとりが順番に演舞を披露し、その姿を地域の人々が温かく見守ります。





無事に演舞が終わると見せるホッとした表情。


バチが少し大きいのもこの祭りの特徴。鈴のついた長い紐の衣装もありしっかり太鼓を叩くのは少し難しそうでしたが、子どもたちは真剣な表情で懸命に演舞していました。


笛や演舞の動きは、担当する地区によって少しずつ異なり、それぞれに独自の味わいがあります。長年受け継がれてきた伝統が、地域ごとに少しずつ形を変えながらも、大切に守られていることが伝わってきます。

堂々とした姿で太鼓を打ち鳴らす中学生の姿も印象的でした。

春日神社での奉納が終わると、2班に分かれ近隣の施設を回って演舞を披露していきます。
\JA島原雲仙北有馬支店/




\南島原市役所 北有馬支所/




\北有馬ショッピングセンター パロス/

特別にお父さんたちによる太鼓の演奏も行われ、力強い音と息の合ったバチさばきに、会場は一段と盛り上がりました♪

この会場では、太鼓を3つ並べ、6人の子どもたちが向かい合う形で演舞を披露しました。



互いの動きを意識しながらリズムを合わせる姿に、練習の成果とチームワークの良さが感じられました。

各会場では飲みものなどが振る舞われ、訪れた人々からあたたかい声援が送られるなど、地域全体で祭りを支える姿が見られました。

暑さの中、午前中の演舞をやり遂げた子どもたち。午後からも地域の商店や施設を回り、浮立を披露していきます。

世代を超えて受け継がれる伝統と、それを見守る地域の絆が感じられる秋の大祭となりました。

