2025年8月27日、雲仙市国見町にある多比良温泉神社にて、五穀豊穣と無病息災を願う伝統行事「風除祭(かぜよけさい)」が行われ、多比良温泉神社を起点に、威勢のいい掛け声と共に、氏子たちが約3.5kmにおよぶ神輿渡御を繰り広げました。

午前9時、厳かな雰囲気の中、太鼓と笛の音が神社の境内に響き渡ります。毎年、浮流を担当しているのは金山・小ヶ倉・魚洗川地区の青年たち。

かつて浮流で披露されていた子ども太鼓は長らく途絶えていましたが、一昨年から子どもたちと保護者の尽力により復活しました。練習を重ねてきた威勢のよい太鼓の響きが、祭りを一層盛り上げます。


神職が祝詞をあげ、今年の豊作と地域の安寧、そして風水害が起こらぬようにと祈りを捧げます。

多比良の風除祭といえば赤いたすきに赤ふんどし姿の男たちによる「馬練り(うまねり)」!「ヨイヤナー、ヨイヤ、サテーナ、モーイモイ!」という独特のかけ声に合わせ、足を高く振り上げながら、まるで舞うように練り歩きます。


今年は、酒井さんと森田さんの2人が馬練りの大役を担います。

御旅所へ渡御するにあたり、白装束に身を包んだ氏子たちは神輿を担いで町を巡幸。道中では、神輿を何度も高く持ち上げ、掛け声とともに威勢よく回りながら進みます。

今年の子ども神輿は、轟地区。1年生から6年生まで14名の子どもたちが務めます。



まだまだ強い陽射しが照りつける8月。青々と伸びた田んぼの稲の間を、およそ80人の氏子たちが列をなして進んでいきます。

「今年もこの光景を見ることができて、本当にありがたいです」と、笑顔で語るのは、多比良温泉神社の宮司・植木貴道さん。地域の人々の協力と、無事に開催できたことへの感謝がその言葉ににじんでいます。




沿道には、この日を毎年楽しみにしている地域住民が大勢集まり、祭りは終始、賑やかな雰囲気に包まれました。


多比良小学校の近くでは、園児たちが旗を振りながら、神輿が来るのを今か今かと待つ姿。


間近で見る馬の大きさや、赤ふんどし姿で舞う馬練りの迫力に、園児たちは目を丸くしたり、思わず歓声を上げたり。驚きと笑顔が入り混じる表情がとても印象的でした。

昔から、神輿の下をくぐるとご利益があるとされ、祈りを込めてくぐっていきます。


国見高校前でも馬練りが披露され、にぎやかな掛け声が飛び交っていました。






高々と持ち上げ得られる神輿。


暑さに負けず、元気いっぱいに「せんざいらく!まんざいらく!」と声を張り上げながら神輿を引く手にも力がこもる子ども神輿。

多比良駅前でも馬練り披露!


駅近くにある伊達かまぼこで、ちょっと休息時間。冷たいドリンクとかまぼこが体に染み渡る〜。

大人の神輿は踏切を渡り、有明海に進んでいきます。

波が寄せる海の中で参拝者たちは力を合わせて神輿を高く掲げ、海水をまとわせながら厳かに清めの儀式を執り行いました。

琴平神社に到着。隣接して鎮座している住吉神社にて神事が行われます。


神社に入ると、最後に声を合わせて神輿を力強く高く掲げ、大きく境内を回ります。

住吉神社の神殿に神輿が納められます。


浮流の笛の音も神社に広がります。最後までがんばった子ども太鼓!


境内でより一層力強く舞う馬練りの2人。最後まで大役を全うするその姿に、見物人から惜しみない拍手が送られました。
3日後の8月30日には、神輿が海から温泉神社へ帰還する神輿渡御行列「お上り」が行われ、多比良地区の風除祭が終わります。来年の夏も、再び活気あふれる祭りとなることを心から期待しています!
【多比良温泉神社】
〒859-1324
雲仙市国見町多比良丁153
TEL 0957-78-2360
たのしくまなべる神社のページ
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