地域とともに歩んだ岩戸小学校の閉校記念式

教育

2025年2月16日、雲仙市瑞穂町の山間部にある雲仙市立岩戸小学校の閉校記念式が執り行われ、別れを惜しむ卒業生や在校生、地域住民など約200人が集まりました。

明治15年に西郷小学校の分校として開始、昭和30年には西郷村立岩戸小学校として新設開校し、当時は158名の児童が通っていました。現在の校舎は昭和53年に完成。自然豊かな環境に囲まれた岩戸小学校には、今年度、児童21名が在籍しています。今年卒業する6年生を含め985名を輩出した学び舎は、2025年3月31日、143年の歴史に幕を降ろします。

閉校式が行われる体育館では、変わりゆく校舎の様子や学校行事の写真が飾られ、参加者たちが当時を懐かしむ姿がたくさん。児童だけでなく教職員と保護者、地域住民みんなが参加する行事の多い岩戸小学校の様子をみることができます。

式に先立ち、全校児童が秋の恵みに感謝を表す「木場浮立」を披露。

太鼓や笛、謡に合わせ、茶化々々、ささらが元気に舞います。

この木場浮立は、木場浮立保存会のみなさんの指導のもと、毎年子どもたちに引き継がれている伝統芸能。

続いて、静寂に包まれ閉校記念式が開式。

教頭として2年間勤務、その後校長として岩戸小学校に赴任した森田剛浩校長。「小学生がいない世帯でも地域の方々が準会員として運動会や岩戸祭りを盛り上げ、学校を支援する岩戸地区独自の制度。地域の皆様がいかに岩戸小学校を大切にされているかが分かります」「地域のみなさんには、閉校した後も岩戸の子どもたちをあたたかく見守ってほしい」と、あいさつを述べました。

卒業生でもあるPTA会長の宮﨑幸平さん。「地域保護者の皆様が密接に関わってきていただいたことで、子どもたちはすくすくと育つことができました。4月から子どもたちは西郷小学校へ編入。学校生活が一変するため、今は楽しみよりも不安の方が大きい面もあるかもしれませんが、これまでのように元気な挨拶と明るさで、早く新しい仲間たちと楽しい学校生活を送ってほしいと願います」と、感謝の言葉とともに、これまでの歩みを振り返りながら子どもたちに言葉を贈りました。

全校児童による別れのことば。明治15年の開校からの歴史を振り返り、5月の運動会から、プール掃除、田植え、ドッジボール大会、交流学習、最後の岩戸祭りでの餅つき、今年のできごとを紡いでいきます。

子どもたちの澄んだ声がまっすぐに響くと、見守る人々の顔には微笑みが浮かび、時折そっと涙をぬぐう姿も見られました。

複式学級で過ごす毎日の思い出。「けんかをする事もあったけど、こんな家族みたいな学級が大好きです。豊かな自然に恵まれた岩戸地区。あたたかな人々が住むこの地域。岩戸小学校がなくなっても、私たちはここに根を張り、未来を見て、生活していきます。心のふるさと岩戸小学校で過ごした日々を忘れず、新しい世界へ羽ばたいていきます」「大好きな岩戸小学校、さようなら」と全員の大きな別れのことば。

最後に懐かしい旋律に心を重ね、会場全員で校歌を歌い、式典の幕が閉じました。


\閉校記念碑 除幕式/

式典の後には、学校の入り口に設置された閉校記念碑の除幕式。たくさんの参加者が見つめる中、6年生も一緒に除幕!在校生全員で記念写真を撮りました♪

在校生の家族の皆さんも集合!!


\\久しぶりに会えました//

「久しぶり!」と再会を喜ぶ声が飛び交い、懐かしい顔ぶれに笑顔があふれ、共に過ごした日々に想いを馳せます。最後はみんなで肩を並べ、笑顔いっぱいの記念写真。

長年にわたり岩戸小学校で読み語りのボランティアを続けてきた髙田さんを囲み、卒業生たちとともに思い出の1枚。

閉校記念式の後、卒業生や地域の人々は校内を歩きながら思い出に浸ります。岩戸小学校では、登校や下校の際に児童たちが職員室の先生に挨拶をするのが長年の伝統。そんな慣れ親しんだ職員室の前に並ぶ歴代の記念写真を眺めながら「懐かしい!」「この頃はこんなことがあったね」と、思い出話に花が咲きます。

下駄箱の前には、最後の登校日までのカウントダウン。

岩戸小学校で過ごした日々の温かさを改めて感じるひとときとなった閉校記念式。3月18日には最後の卒業式が行われ、3月24日の修了式、最後の登校日を迎えます。

Asami Sakai

Asami Sakai

島原半島のことを撮ったり書いたり見つけたり。

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