口之津歴史民俗資料館がオープンin口之津港ターミナル

公共

2020年5月26日、『口之津歴史民俗資料館 新館』が南島原市口之津港ターミナル2階にオープン。
愛称は、公募336点から選ばれた『くちのつポートミュージアム』に決定しました。

南島原市口之津港ターミナルは、フェリーターミナル・売店・食事処・口之津支所・イルカウォッチングなどが入った複合施設として2020年3月に新しく完成。

口之津歴史民俗資料館 新館には、『口之津の繁栄を知ることができる中世・近現代』をテーマに二つの常設展示室が設けられています。まず、入場口の先にある展示室『南蛮船来航の地、口之津』。

島原の乱で唯一の生存者とされる絵師 山田右衛門作や日本人初のカナダ移民 永野萬蔵、世界初の魚群探知機を発明した古野電気などの口之津を代表する偉人たちの紹介がされたコーナー。

口之津港は大きな船が入港するのに必要な海の深さがあり、風よけもできる地形となっているので昔から天然の良好と言われ長崎よりも早くに開港したそうです。1567年三隻の南蛮船来航の様子や天正遣欧少年使節団に関する史料や壁面グラフィック、ガイダンス映像などが展示され、訪れた人たちが楽しめる内容となっています。
一緒に記念写真を撮ることもできますよ♪

※展示品の中には撮影禁止もありますのでご注意ください。


次に『近現代、貿易港としての口之津』を紹介した展示室では、船員の町として発展していった近現代の口之津の様子がわかる展示となっています。

三池炭鉱の輸出港として反映した明治時代。大牟田三池港に大きな船が入港できない為、石炭をこの口之津港で大きな汽船に積み替える作業が行われていました。写真は、明治30年代に大牟田から口之津まで数珠繋ぎに連なってやってきた団平船から、娘たちが人夫になり「ヤンチョイヤンチョイ」と掛け声を掛け合い石炭を汽船に積み込んでいる様子。クレーンなどなかった時代、過酷な作業だったことを間近で感じることができます。


大正から昭和時代、口之津船員が乗り込んだ三井社船『榛名山丸』で使用されていた当時の鐘。

数取り棒
石炭の荷揚げや積み込みの時に、間違えや書き間違いがないよう工夫されたもの。

口之津灯台初代灯時につけられていたレンズ。

光源から拡散する光を一方向に集結させそれを軽量化するという当時としては発達した技術を、1800年初頭にフランス人科学者によって開発されたもの。
華やかな口之津の歴史を見続けたレンズは2019年に取り替えられたそうです。

商家が立ち並び賑わっていた口之津のミニチュア模型。
当時の様子をうかがい知ることができます。



『からゆきさん』の展示コーナー。
明治から大正にかけて石炭を運ぶ船底に隠され、中国や東南アジアなどに売られていった女性たちは『唐行き(からゆき)さん』と呼ばれ、貧困の悲劇として語り継がれています。女性たちは島原・天草地方の貧しい農家や漁村の娘たち。有名な『島原の子守唄』は、からゆきさんの気持ちを描写した唄。

2つの常設展示室は、熊本県天草市の鬼池港を結ぶ島鉄フェリーや路線バスの旅客ターミナル、イルカウオッチング用の桟橋、遠くには分館のある赤い『南蛮大橋』が見える廊下を通って行き来することができます。

海の浪漫ある歴史を知ったあと、改めてゆっくりと海を眺めてみるのもいいですね。

口之津歴史民俗資料館 分館

海の資料館では、1567年に口之津にやってきた南蛮船の模型や生活費用品、世界各国の民芸品などが数多く展示してあります。


館内を進んで行くと外には明治11年に開設された旧長崎税関口之津支所を改装された建物や、明治32年に与論島から集団移住してきた人たちを偲ぶ『与論長屋』を縮小再現した建物などがあり、口之津の人びとの姿を思い浮かべてしまうような品を見て、歴史をたっぷり学ぶことができる場所です。

近代歴史にも詳しい松本昇館長(国士舘大学名誉教授)から、異国情緒溢れる口之津の歴史を館長さんから聞くのもオススメです。

多くの船員が溢れ、商家で賑わった歴史ある港町口之津町。

口之津港ターミナルビル完成を記念し、地元の地域活性化グループ「みなとオアシスくちのつ運営協議会(塩田善之会長)」の会員の皆さんによって植栽されたジャカランダの苗木。

口之津のこれからの歴史を見守ってくれることでしょう。


【 口之津歴史民族資料館 】
(本館)〒859-2504 南島原市口之津町丙4358番地6
(分館)〒859-2502 南島原市口之津町甲16番地7
TEL.  0957-73-6773(本館・分館 共通)
開館時間  9:00〜17:00(入館は16:30まで)
定休日  月曜日/12月29日〜1月3日

入館料(本館・分館共通の入館料)
一般 1名¥200/高校生 ¥150/小・中学生 ¥100/
※20名以上が対象の団体割引もあります。


Asami Sakai

Asami Sakai

島原半島のことを撮ったり書いたり見つけたり。

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